
Time is money.
こんにちは!
日々の業務、後輩の指導、山積みの委員会活動、そして自身の学習…。病棟を駆け回り、患者さんの命と向き合い、家に帰れば家族のこと。目まぐるしい毎日の中で、ふと立ち止まる瞬間、こんなことを思いませんか?
「このままで、私の老後は大丈夫なのかな…」
「子どもの教育費、親の介護…考えなきゃいけないことは山積みだけど、何から手をつければいいんだろう」
「若い頃に入った保険、今の私に本当に合ってる?」
若い頃とは違う、漠然とした、でも無視できないお金への不安。かつて後輩だった子が、今や中堅として現場を支え、その姿に頼もしさを感じながらも、自分自身のキャリアや人生の着地点について、ふと考え込んでしまう…。私自身も、そんな一人です。
今日は、そんな毎日を戦う戦友である、中堅・ベテランナースの皆さんと一緒に、「キャリア後半戦のお金との向き合い方」について、少しだけ真剣に考えてみたいと思います。これは、単なる節約や投資のテクニックの話ではありません。私たちが、これからも自分らしく輝き続けるための、大切な人生戦略の話です。
なぜ「今」、私たちは本気でお金と向き合うべきなのか
若手時代は、とにかく目の前の業務と勉強に必死でした。お給料が入れば、自分へのご褒美に旅行へ行ったり、美味しいものを食べたり…。それはそれで、とても大切な時間でした。でも、キャリアの折り返し地点を過ぎた今、私たちを取り巻く環境は大きく変わってきています。
1.「時間」という最大の武器の価値が変わった
若い頃は、「時間」が何よりの味方でした。少額の積立でも、長い年月をかければ複利の力で大きな資産に育てることができました。しかし、私たちに残された時間は、当時よりも短くなっています。だからこそ、「なんとなく貯金」や「ほったらかし投資」では通用しない、より現実的で戦略的なアプローチが必要になるのです。
2.ライフイベントの「集中砲火」に備える必要性
子どもの大学進学、住宅ローンの返済、そして忍び寄る親の介護問題。自分の健康だって、若い頃と同じとはいきません。お金が出ていく場面が、一度に、そして複雑に絡み合いながらやってくるのがこの年代です。一つ一つに場当たり的に対応するのではなく、全体を見渡して計画的に備える「司令塔」としての視点が求められます。
3.「稼ぐ力」の質的転換期
体力的に夜勤が厳しくなったり、役職がついて責任は重くなる一方で給与は頭打ちになったり…。これまでのように「時間を切り売りして稼ぐ」というスタイルに限界を感じ始める時期でもあります。「このまま今の働き方を続けられるだろうか?」という問いは、そのまま「収入は維持できるだろうか?」という問いに繋がります。
まずは自分の現在地を知る。「お金の健康診断」をしてみよう
不安の正体は、分からないことから生まれます。まずは、あなたの「お金の現在地」を客観的に把握することから始めましょう。
おすすめしたいのは、家計簿よりも一歩進んだ「資産の棚卸し」です。企業の財務諸表で使われる「貸借対照表(バランスシート)」の考え方を、個人の家計に当てはめてみましょう。
- 【資産の部】:今、あなたが持っているプラスの財産は?
預貯金、株式、投資信託、iDeCoやNISAの残高、保険の解約返戻金、不動産など - 【負債の部】:今、あなたが抱えているマイナスの財産(借金)は?
住宅ローン、自動車ローン、教育ローンなど - 【純資産】:あなたの本当の財産
資産の合計額 ー 負債の合計額 = 純資産
この「純資産」が、今のあなたの本当の実力です。まずはこの数字をしっかりと直視すること。そして、毎月のキャッシュフロー(収入と支出)も改めて見直してみましょう。特に、固定費である保険料、通信費、サブスクリプションサービスなど、若い頃に契約したまま何となく払い続けているものがないか、一度チェックするだけでも大きな効果があります。
遅すぎることはない!40代・50代からの賢い「守り、育てる」資産戦略
現状把握ができたら、次はいよいよ未来への戦略です。「もう今からじゃ遅い…」なんてことは絶対にありません。今日が、これからの人生で一番若い日なのですから。
1.新NISAを「大人の視点」で活用する
若手のように時間をかけてコツコツ、という基本は同じですが、私たちには「まとまった資金を投入できる」という強みもあります。「つみたて投資枠」で安定的にインデックスファンドを積み立てつつ、余剰資金があれば「成長投資枠」で少しだけ個別株やアクティブファンドに挑戦してみる、といった戦略も考えられます。大切なのは、非課税メリットを最大限に享受すること。使わない手はありません。
2.iDeCoは「出口」を意識して検討する
強力な節税メリットがあるiDeCoですが、60歳まで引き出せないのが最大のポイント。あなたの退職プランや年金受給開始年齢と照らし合わせて、60歳以降にどう受け取るか(一時金か年金か)まで考えて加入・継続を検討しましょう。新NISAを優先して非課税枠を埋めることに尽力してもいいと思います。
3.自分に合った「リスク許容度」を再設定する
投資におけるリスク許容度は、年齢や家族構成、資産状況によって変わります。独身時代の感覚のまま、大きなリスクを取るのは危険です。退職までの残り時間で、万が一損失が出た場合にリカバリーできる範囲はどれくらいか。冷静に見極め、「守りながら増やす」バランスを意識したポートフォリオを組みましょう。
お金から自由になり、私らしいキャリアを歩むために
ここまでお金の話をしてきましたが、私たちが目指すのは、ただお金を増やすことではありません。お金の不安から解放され、「自分らしい人生とキャリアを選択できる自由」を手に入れることではないでしょうか。
夜勤が体力的に辛くなったら、日勤のみの働き方を選ぶ。興味のある分野の研修に、費用を気にせず参加する。少し仕事をセーブして、家族や自分の趣味の時間を大切にする。そんな選択ができるのも、経済的な基盤があってこそです。
看護師の資格は、私たちの大きな強みです。臨床現場だけでなく、訪問看護、企業、教育、執筆活動など、その気になれば多様な働き方が可能です。お金の心配を減らすことは、視野を広げ、新しいキャリアに挑戦する勇気を与えてくれます。そして何より、心身の健康という、何物にも代えがたい最大の資産を守ることに繋がるのです。
おわりに
中堅・ベテランとして、私たちは多くの責任を背負い、日々判断を迫られています。その判断力と経験を、今度はぜひ、あなた自身の人生と未来のために使ってみませんか?
お金と向き合うことは、自分の人生と向き合うこと。これまで何を大切にし、これからどう生きていきたいのかを、改めて見つめ直す良い機会になるはずです。
一人で考えるのが難しければ、信頼できるファイナンシャルプランナー(FP)など、専門家の力を借りるのも賢明な選択です。
「もう年だから」ではなく、「今だからこそ」。
今日、この瞬間から、あなたの未来を豊かにするための第一歩を踏み出してみませんか。
同じ時代を走り続ける看護師として、あなたのこれからの人生が、より一層輝くことを心から願っています。
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